遺産分割
2026/05/18

不当に高く評価された不動産の適正価値を証明し、審判段階から2000万円の経済的利益を確保して解決した事案

担当弁護士:北川 舜

事案の概要

• ご相談者:60代男性
• 被相続人:実父(80代)
• 遺産構成:不動産(自宅の土地建物、自宅隣の畑)、預貯金、株式
• 相続人:ご相談者、ご相談者のご兄弟(計2名)

相談前の状況と課題

当初は当事者同士で遺産分割の話し合い・調停を行っていましたが、不動産の評価額と財産の具体的な分け方をめぐって激しく対立し、協議・調停は不成立に終わりました。その後、手続きは家庭裁判所の「審判」へと移行し、ご自身での対応が困難になったことから当事務所にご相談に来られました。

最大の争点は、自宅の隣にある「畑」の評価額でした。相手方は、路線価を単純に当てはめた「4000万円」という高額な評価を主張し、その上で「この畑をご相談者が取得すべきだ」と強く求めていました。もし相手方の主張どおりに審判が進んでしまえば、ご相談者は実質的な価値に見合わない負担を強いられる、極めて不利な状況にありました。

弁護士による解決へのアプローチ

1 提携不動産会社との連携による「実際の市場価値」の可視化

弁護士は、相手方が主張する「4000万円」という評価額が、現地の状況を反映していない机上の計算にすぎない点に着目いたしました。そこで、当事務所が日頃から提携している信頼できる不動産会社に協力を依頼し、現地の詳細な調査を行いました。その結果、当該の畑は道路よりも低地に位置しており、実際に活用や売却をするためには大規模な「造成工事」が必要不可欠であることが判明いたしました。

2 客観的な証拠(査定書、買付証明書)に基づく戦略的な立証

単に「造成が必要だから価値が低い」と主張するだけでは、裁判所を納得させることはできません。弁護士は、提携不動産会社を通じて作成した詳細な「不動産査定書」に加え、実際の取引可能性を示す「不動産会社の買付証明書」を客観的な証拠として取得いたしました。これにより、造成費用等を考慮した実際の市場価値は「2000万円」が適正であるという事実を論理的に証明し、裁判所に資料として提出いたしました。

3.主張の一転と相手方への取得による決着

裁判所に対し、畑の価値が2000万円であるという強力な立証を行った結果、相手方の主張していた4000万円という評価がいかに不当であるかが明確になりました。最終的には、当方の主張のとおり「畑の価値は2000万円」として評価された上で、それまで取得を頑なに拒んでいた相手方自身がその畑を取得するという形で、無事に決着を迎えることができました。

解決結果

相手方の「4000万円の価値がある畑をご相談者に取得させる」という主張を完全に退け、「2000万円の価値として相手方に取得させる」という大逆転の成果を収めました。これにより、ご相談者には差額分である「2000万円の経済的利益」が生じる結果となりました。

さらに審判解決後は、当事務所のワンストップネットワークを活用し、提携している司法書士へ速やかに引き継ぎを行って自宅の名義変更(相続登記)を完了させました。また、提携税理士とも連携して期限内に相続税の申告もすべて完了させ、ご相談者の負担を最小限に抑えて完全な解決へと導きました。

弁護士だからこそ突破できた「最大のポイント」

相続財産に不動産が含まれる場合、その「評価額」をいくらに設定するかで、最終的に手元に残る財産の額が何千万円単位で変わってしまうことがあります。特に税法上の基準である「路線価」は、個々の土地の法的な制限や、高低差などの物理的な欠陥(マイナス要因)を十分に反映していないことが少なくありません。

本事例の最大の勝因は、審判という厳格な裁判手続きにおいて、弁護士が独自の士業ネットワーク(提携不動産会社)を駆使し、裁判所を動かすに足りる「客観的かつ強力な証拠」を迅速に提示できた点にあります。

当事務所では、法律の知識にとどまらず、不動産実務に精通した専門家と緊密に連携しながら、依頼者様の正当な利益を守るための戦略的な立証活動を行います。「裁判所の審判になってしまいどうすればいいか分からない」「相手方の提示する不動産評価に納得がいかない」とお悩みの方は、お早めに当事務所までご相談ください。

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